IPO時に整備が必要な規程集~IPO審査で求められる規程(サンプル集)~

後段に規程作成・運用上のポイントについてチェックリストを作成しました。

規程一覧

IPOをする際に必要となる主な規程は次の通りです。特に◎のものは優先的に整備する必要があります。

【更新】内部監査規程のサンプルを作成しました。
内部監査規程(サンプル)
内部監査規程_内部監査上の留意点(サンプル)

会計基準について整理しました。
会計監査六法(Web版)

規程重要概要
■基本規程・経営規程  
定款 
取締役会規程開催日、開催場所、臨時取締役会の取扱等、決議方法や機関構成について規程
監査役監査規程監査役の監査方法等を規程
規程管理規程諸規程を作成、管理その他の基本事項を定め、諸規程の形式、用語を統一し、業務の合理化を図る
株式取扱規程資本の取扱い方法について規程する
■ 組織規程  
組織規程会社を編成する各部門の役割について規程
職務分掌規程各部門に配分された一定範囲の責任について規程
職務権限(決済)規程各社員に割り当てられた責任を遂行するための権限と限界について規程
稟議規程会議体での決議事項とするほどの重要でない事項につき決裁・承認を求める方法について規程
内部監査規程内部監査機関、権限、監査方法、責任等について規程(サンプルを作成しました!)
内部監査規程(サンプル)/
②内部監査規程_内部監査上の留意点(サンプル)
■ 人事・労務規程  
就業規則労働時間等、労働者が就業する上で遵守すべき事項について規程
モデル就業規則(厚労省)
→社会保険労務士に作成してもらうのが無難

IPO審査で重要となる人事労務チェックリストを作成しました。
人事労務チェックリスト~IPO準備で必須の労務管理のポイントを解説~
給与規程給与について規程
旅費規程出張の際の旅費について規程
借上宿舎規程借上宿舎について規程
海外出張規程海外出張の際の旅費について規程
育児介護休業規程育児・介護の際の休業について規程
定年後再雇用規程定年を65歳未満として定めている場合に継続雇用等の再雇用制度について規程
慶弔規程慶弔の際の支給について規程
テレワーク就業規則テレワーク勤務に関する労働管理や情報管理について規程
テレワークモデル就業規則_厚労省
■ 総務関係規程  
文書取扱規程文書の保存及び管理について規程 
印章取扱規程社内で使用する代表取締役印、社印の調製、登録、交付、保管、使用及び廃棄について規程
■全般規程  
ソーシャルメディア利用規程ソーシャルメディア利用に関する考え方を明確化した規程
公益通報者保護規程公益通報者保護に関する考えた方を明確化した規程
コンプライアンス規程コンプライアンスに関する考え方を明確化した規程
コンプライアンス規程 (サンプル)
リスクマネジメント規程リスクマネジメントに関する考え方を明確化した規程
反社会勢力対応規程反社会勢力に関する対応策を明確化した規程
反社チェックマニュアル(サンプル)
情報管理規程情報管理全般について規程
個人情報取扱規程個人情報取扱について規程
モデル規程集(三宅法律事務所)
■ 経理規程  
経理規程経理に関する方針・手続き・処理方法等を規程
会計基準→会計監査六法(Web版)
金銭取扱管理規程特に流動性の高い資産について、管理方法、管理責任者、業務権限等を規程
勘定科目処理要領勘定科目の定義及び取扱いについて規程
原価計算規程原価計算の手続について規程
予算管理規程予算単位、期間、予算組織、予算編成、差異分析等について規程
■ 業務関係規程  
販売管理規程販売業務の方法、債券管理の方法等について規程
原価計算規程原価計算の費目、方法等について規程
購買管理規程仕入や外注の発注方法等について規程
在庫管理規程原材料や貯蔵品などの棚卸資産の保管、実地棚卸しの方法等について規程
外注管理規程外注先の選定方法等について規程
固定資産管理規程固定資産の取得・減価償却・処分・設備維持・現物管理等の基本的事項について規程
仮払金管理規程仮払金の手続について規程

就業規則とストックオプション規程

就業規則にストックオプションの規定を入れるか否かよく相談を受けます。それについて簡単に下記リンク先で解説していますので、良ければご覧ください。

整備が必要な規程-就業規則-ストックオプション

おすすめ書籍

法務デューデリジェンス チェックリスト 万全のIPO準備とM&Aのために (NextPublishing)

IPO準備会社において規程集などを模倣して規程を作成するのも一手かもしれませんが、法務リスクに対応できていないというクリティカルな問題が後から出てきてしまっては元も子もありません。そこで、お勧めなのが、法務DD関連の書籍。こちら、西村あさひ法律事務所の弁護士がスタートアップ企業の法務・知財戦略支援、ベンチャー投資ファンドの組成・投資支援、IPO支援など、多くのベンチャー関連業務に携わった経験を元に、リスク項目をチェックリストにした書籍です。A4サイズでP100ほどとシンプルな作りになっています。さらに、IPO準備だけではなくM&Aの法務DDにも使える代物です。で、なぜ私がこちらをとても推しているのかといいますと・・・

Kindle Unlimited 会員は、無料で購入出来ちゃいます!!

※既に無料キャンペーンが終了している可能性もあります。
Unlimitedは微妙という方は、通常のkindle価格でも790円くらいです。
紙の書籍であっても1100円程度ですので、かなり安いです。
是非ともご覧いただきたい一冊です。

 ちなみに目次は次の通りとなっています。
 [1]はじめに
 [2]会社組織
 [3]株式
 [4]契約
 [5]資産
 [6]負債
 [7]知的財産
 [8]人事労務
 [9]許認可及び規制遵守
 [10]訴訟その他の紛争

経理規程ハンドブック(第10版)

規程については経理に関連する業務を中心に具体的な規程を示しながら解説している良著に有限責任監査法人トーマツが編集した経理規程ハンドブックがあります。かなり詳細に解説されていて、経理規程をはじめ会計処理マニュアル、勘定科目処理要領、原価計算規程、さらには内部監査・内部統制に関する規程など20の経理関連規程についてわかりやすく解説しています。

3訂版 社内諸規程作成・見直しマニュアル

ただ、こちらは経理業務に関連する規程ですので労務・法務・総務系の規程は含まれていません。これらの関連規程は監査法人(会計士)の上司も絶賛していた岩﨑仁弥 (著), TMI総合法律事務所 (監修)の「改訂版 社内諸規程作成・見直しマニュアル」がおすすめです。「個人情報取扱規程」「特定個人情報(マイナンバー)等取扱規程」「営業秘密管理規程」「育児・介護休業規程」「時間外労働・休日労働協定」等の作成・見直しに必要な視点とポイントを詳解に解説しており、働き方改革にも対応している良著です。

実用会社規程大全

こちらは一般的な規程(参考例)を集めたものになりますが、細かな解説はないため、取り急ぎ雑多な規程も含めてどのような規程があるのか、記載っぷりはどうなっているのか確認したい方にはお勧めです。なんせ規程収録数は250超なので基本的には網羅されています。

ただし、会社というものはそれぞれ事業形態も違うし報酬形態、勤務形態なども異なるので、そこは上手く会社の実態(若しくは「ありたい姿」)に合わせてカスタマイズできるように、どこかでベースとなる法的な知識や実務慣行は理解しておくべきかと思います。

さらに、IPO準備という観点で言うと漏れている点(弱い点)もあり、それは経理関連規程、内部監査・J-SOX関連規程になります。こちらはどうしても経験豊富な会計士が携わる監査法人編の書籍には敵わないですね。こちらがどうしても必要という方は上記の経理規程ハンドブック(第10版)をご覧ください。

もしくは、監査法人がすでについている準備会社の場合は、監査法人の会計士と仲良くなって参考規程集をもらうという手もありますが、本来は規程作成支援の業務などは数十万~100万程度のフィーで受注したりするので、監査法人との関係性がものをいいますね。

今日の企業経営の上では必要不可欠である規程の整備を行う上での参考となるよう、
経験豊富な弁護士が自らのノウハウに基づいて規程例を作成・提示した。
「現代のニーズに応える」という視点で必要となる規程をすべて網羅して収録。
収録規程数は250に上る。

amazon紹介文

目次は下記の通りです。

第1章 定款・機関・組織 (40規程)
第2章 人事・労務 (55規程)
第3章 総務 (43規程)
第4章 経理 (20規程)
第5章 営業・購買 (6規程)
第6章 技術管理 (13規程)
第7章 リスクマネジメント(18規程)
第8章 機密保持・情報セキュリティ (41規程)
第9章 マネジメントシステム (15規程)

規程運用チェックリスト

業務内容の分析や標準化を行ってるか。
各部門、各職位の責任と権限を、規程上も明確化しているか。
規程ごとに改廃権限を明確にしているか。
改廃権限が代表取締役・社長に集中していないか。
規程ごとに所管部署を設けているか。
規程は、文書配布又は社内サイト等により周知を行っているか。
適宜メンテナンスを行っているか。
規程、細則、実施要領、通達等の区分により体系化し、迅速な改訂ができる体制としているか。
社内通達の中に、規程、細則、要領などとして整備すべきものはあるか。
規程(細則、要領等を含む)の改訂履歴(改訂年月日、改訂内容、改訂目的)は保存しているか。
規程には、目的、内容、責任者、運用、手続きを明確に記載しているか。
会社の実態を踏まえ、現在実行していることを明文化し、又は実行可能となるよう規定しているか。
実行不可能な部分がある場合、当該部分は改訂予定か。
不正・誤謬の生じやすい部分には、内部牽制が機能するように規程を作成しているか。
各規程が細分化、網羅化され過ぎて、周知不徹底、運用上の不都合、死文化が生じているか。
各規程間に漏れ・重複・矛盾は生じていないか。
『業務分掌規程』、『職務権限規程』、『経理規程』と他規程の整合性を確保しているか。
上場準備の過程で作成・大幅改定を行う規程については、原則として直前期1年間は運用する計画としているか。
定款「事業目的」の見直しを行っているか。
子会社がある場合、親会社の定款の「事業目的」に、その事業内容を含んでいるか。
規定している内容が、法令に違反していないかどうかの確認を行っているか。
定款や『株式取扱規程』は、上場会社に求められる基準を踏まえた内容か。