IPOディスカウントとは、IPO時の公開価格決定プロセスにおいて、想定時価総額に対して一定範囲のディスカウントをすること、またはその率のことをいいます。
IPOディスカウントの意義を理解するためには新規上場時のファイナンススケジュールを理解する必要があります。
下記は「新規上場ガイドブック(日本取引所グループ)」に記載されている一般的なファイナンススケジュールです。


新規上場ガイドブック | 日本取引所グループ
日本取引所グループは、東京証券取引所、大阪取引所、東京商品取引所等を運営する取引所グループです。
上表の通り、プレマーケティング期間、ブックビルディング期間、申込期間等によってファイナンス期間は1か月程度あります。
つまり、最初に有価証券届出書や目論見書で投資家へ提示した株価から初値付けまでの期間は3週間程度あります。IPOディスカウントはその間の期間リスクを考慮したものと一般的に言われています。
他には新規上場企業と投資家の間の情報の非対称性の観点もIPOディスカウントの意義の一つとされています。決算説明や決算短信等で継続的に情報開示をしている上場企業と比較すると新規上場企業は投資家がアクセスできる情報が少ないです。
これにより、情報不足により投資意思決定を誤るリスクを懸念する投資家が多くなり需要が集まりづらくなるかもしれません。そこで、情報不足による投資家不安を払拭し需要喚起を図るべく一定程度のIPOディスカウントをしているともいえます。