結論をいうと、未収入金は確定債権であるため金銭債権に該当するが、未収収益は未確定債権であるため金銭債権に該当せず、継続的役務提供にかかる経過勘定であるという点で違います。
※会計基準等について会計監査六法(Web版)で取り纏めているので合わせてご覧ください。
未収収益とは?
まず、未収収益は『企業会計原則』および『中小企業の会計に関する指針』で次のように定義されています。
未収収益は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、すでに提供した役務に対していまだその対価の支払を受けていないものをいう。従って、このような役務に対する対価は時間の経過に伴いすでに当期の収益として発生しているものであるから、これを当期の損益計算に計上するとともに貸借対照表の資産の部に計上しなければならない。また、未収収益は、かかる役務提供契約以外の契約等による未収金とは区別しなければならない。
企業会計原則/注解五
未収収益とは、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、既に提供した役務に対しいまだその対価の支払を受けていないものをいい、未収利息、 未収家賃等が該当する。 未収収益は、このような役務提供契約以外の契約等による未収金とは区別しなければならない。
中小企業の会計に関する指針30項
未収入金とは?
一方で、未収入金に関する基準は財務諸表等規則ガイドラインにてシンプルに記載されているのみです。
通常の取引に基づいて発生した未収入金で売掛金以外のもの及び通常の取引以外の取引に基づいて発生した未収入金で1年内に回収されると認められるものは、その他の資産に属するものとする。
財規ガイドライン15-12 ③
これに加えて、外貨建会計基準をよく読むともう一つの違いが分かってきます。
外貨建未収収益及び未払費用は、計算期間の期日が到来していないため外貨建金銭債権債務ではないから換算の対象とならないという見解がある。しかし、これらは外貨建金銭債権債務を基礎とした経過勘定であり、期日が到来した時点で外貨建金銭債権債務となり、その決済期日に外貨の授受があることから、換算上、外貨建金銭債権債務に準ずるものとして扱うことが適切と考えられる。
外貨建取引等の会計処理に関する実務指針 68項
つまり、未収収益は金銭債権・確定債権ではないと主張していますね。ただ、期限到来後は金銭債権になるので、「準ずるもの」として取り扱うとしているようです。
応用論点:前払金は金銭債権になるのか?
結論は金銭債権になりません。金銭の授受を目的としていないためです。詳しい考察については下記で纏めておりますのでよければご確認ください。
おすすめ書籍
ここまで基準間を繋げて解釈した本もないですし、会計士でも説明できない人が多いので、これを理解して説明すると一目を置かれるかもしれません。もう少し基礎的なレベルで勘定科目の説明を行っている良書に勘定科目ハンドブックというものがあります。こちら、辞書として手元にあるととても便利です。