労働基準法で具体的に定義が定められていない半日休暇ですが、スタートアップベンチャーの場合は、就業規則に定めていないことも多いかと思います。この場合、半日休暇を取得を認めてもよいのでしょうか?
通常の年次有給休暇のルール
まず、通常の年次有給休暇については労働基準法第39条で次の通り定められています。
使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
労働基準法第39条1項
年次有給休暇については、条文で明記されており、かつ、厚労省もリーフレットを出しているので、細かなルールも理解しやすいかと思います。
時間単位の年次有給休暇のルール
次に半休ではなく時間単位の年次有給休暇については、同上4項にて次の通りの定めがあります。
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、第一号に掲げる労働者の範囲に属する労働者が有給休暇を時間を単位として請求したときは、前三項の規定による有給休暇の日数のうち第二号に掲げる日数については、これらの規定にかかわらず、当該協定で定めるところにより時間を単位として有給休暇を与えることができる。
労働基準法第39条4項
ここでポイントとなるのは、上記黄色マーカーにある通り、労使協定で時間単位の年次有給休暇について定める必要がある点です。このように、時間単位の年次有給休暇についても労基法で明記されており、かつ、厚労省のリーフレットも出て解説されています。
こちらのリーフレット等では就業規則の記載方法も解説されているように、「休暇」に関する事項は就業規則に定める必要があります。就業規則の絶対的記載事項については労働基準法第89条1項(1号~3号)で定められており、1号にて次の通り、「休暇」についての記載があります。
常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
一 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
労働基準法第89条1項1号
半日休暇のルール
半日休暇の定めは先述の通り、具体的な法律上の定めはありませんが、厚労省のリーフレットで次のような解説がされています。
※半日単位の年休取得について
年次有給休暇は日単位で取得することが原則ですが、労働者が希望し、使用者が同意した場合であれば、労使協定が締結されていない場合でも、日単位取得の阻害とならない範囲で半日単位で与えることが可能です。
Q1.半日単位の年次有給休暇についても、改正後は年5日以内としなければならないのですか。また、半日単位の年次有給休暇を取得した場合に、時間単位年休の残りの時間数はどうなりますか。
A1.半日単位の年次有給休暇は、時間単位年休とは異なるものです。今回の改正で取扱いを変更するものではありません(詳細はp.23参照)。また、半日単位の年次有給休暇を取得しても、時間単位で取得できる時間数に影響を与えるものではありません
改正労働基準法 (mhlw.go.jp)
以上のことから、労使協定で定める必要ないものの、「休暇」に関する定めであるため労働基準法第89条1項1号に従い、就業規則において半日休暇制度の定めをする必要があると考えられます。