分かり易く解説 モダンExcel VS Tableau クライアントに進めるのはどっち

 TableauとExcelではそれぞれ得意分野があります。特徴を理解し、用途によって使い分けをしていただければ幸いです。

 経営や業務の現場におけるデータ活用は、常に課題を抱えています。例えば、

  • 報告数値をまとめるのに毎回多くの時間と手間を費やしている
  • システムから出力される情報だけでは管理会計には不足しているため、やむなく手作業で資料を作成している
  • 明細情報が膨大なため、やむなくサマリ情報のみで経営判断している

 このような事象が皆様の周りでも散見していると思います。

 上記のような課題事項を解決するため、情報の収集と分析(Analysis)、視覚化を簡単に実施するBIツールの導入は有効な手段であると考えます。一方Analysisに必要なツールは一般的には高額かつ専門性が高く難解なケースが付きまっとていました。そこで最近注目されているのはTableauというツールです。

 Tableau(タブロー)とは

 Tableau社が開発しているデータ可視化ツール、BI(Business Intelligence)ツールの1つです。「誰でも簡単に・短時間にデータの要所(傾向、つながり、正常/異常など)を見つけ出せる」ことを目的として開発されました。

 他のBIツールと比較し、簡単な操作性とコストパフォーマンスに大変優れています。専門性がなくてもドラック&ドロップで簡単に操作できます。また基本機能、基本レイアウトも充実しているため追加機能も不要です。

 モダンExcel(エクセル)とは

 長らくTableauはBIツールの代表格でしたが、ここにきて強烈な対抗馬が出てきました。Excelです。Excelの説明は今さら不要でしょうが、それが何故今、TableauなどのBIツールの対抗馬になり得るのでしょうか。それは近年、Excelに「Power Query」と「Power Pivot」が搭載され、BIツールと同様に複雑なデータの分析や可視化が可能になりました。

 Power Queryによって、外部データとの連携やデータの整形・加工作業を自動で行えます。今まではそのような作業にはマクロを使用する必要がありましたが、マクロを使用する必要がありません。つまりプログラミングの知識が不要ということです。プログラミングの代わりに「Powers Queryエディター」を使うことになります。この「Powers Queryエディター」はマウスによって直感的に使用することができます。また「Power Pivot」では複数のテーブルを連携させ、分析することができます。またスライサーを使用すると一度集計したデータの絞り込みをいつでも行うことができます。

Tableau VS モダンExcel 

 では実際どちらを使用するのでしょうか。結論としてはそれぞれ長所、短所があるため利用シーンに応じて優劣が異なるというのが筆者の正直な所感です。なので、ここではTableauとモダンExcelの特徴について、一般的なデータ分析活用の4ステップに則って特徴をまとめさせていただきます。

データ分析活用 基本の4ステップの1つ目 データソースへの接続

 モダンExcelは、そもそもExcelであるため、Excelファイル上に保存した情報をそのまま分析に使えます。ここで注意点として、エクセルの行は100万行程度しか保存できません。100万行まで行かなくとも、複雑になればなるほどExcelが強制終了することはままあります。

 一方でTableauはExcelや各種データベースとの専用インターフェースが事前に用意されており、簡単な操作で取り込むことが可能です。

データ分析活用 基本の4ステップの2つ目 ビューの作成

 モダンExcelでは「Power Pivot」によって複数のテーブルを連携させてビューを作ることができます。グラフはエクセルに60種類ほど存在し、よほど特殊な例でない限り十分対応できると思います。

 Tableauでは読み取ったデータに対して、自動で「ディメンション」と「メジャー」が作成されます。ディメンションやメジャーは自動で振り分けられますが、入れ替えたい場合はクリックで変更可能です。

  • ディメンション=データを分析する軸となる項目
    • 例:製品分類
    • 例:商品コード
    • 例:日付
  • メジャー=集計、計算して意味がある項目
    • 例:金額
    • 例:数量

 上記2軸を組み合わせてビューを作成していきます。その際複数の異なるグラフを掛け合わせることも可能です。

 作成されたビューを更新(データの更新)を行う場合、モダンExcelとTableauでは異なります。Tableauの場合は元となるデータが更新された場合は自動でビューも更新されます。しかしモダンExcelの場合は元データを参照している「Power Query」と「Power Pivot」に対してそれぞれ更新をかけなければビューを更新できません。代替手段として、オプションにて「ファイルを開くときにデータを更新する」にチェックを入れることで更新漏れを避けることもできます。

データ分析活用 基本の4ステップの3つ目 ダッシュボード化

 モダンExcelでは、前段「ビューの作成」にて作成したビューをコピーアンドペーストしてSheet上でビューを作成します。

 Tableauでは「ダッシュボード」機能を使用して複数のビューをダッシュボード化することができます。

データ分析活用 基本の4ステップの4つ目 保存と共有

 モダンExcelの場合、作成したエクセルファイルを共有するだけで情報共有が可能です。しかしその場合は誰でも作成したビューやダッシュボードを更新できてしまうため、パスワードを設定するなど工夫が必要です。

 Tableauの場合は無償の「Tableau  Reader」と、データとビュー/ダッシュボードが圧縮された「パッケージドワークブック」を共有することで他メンバーも閲覧できます。

結論

 このように見ると、Tableauの方が優秀なように見えますが、デメリットもあります。代表的なものは以下の通りです。

  • ツールに関する事前学習が必要
    • モダンExcelの場合はすでにスキルが持っているユーザが多いので取り組みやすいです。
  • 年間10万円からの費用が必要
    • モダンExcelの場合は追加費用は不要です。Excelを持っている場合はすぐに始めることができます。

 利用するケース、ユーザ、頻度、データの複雑性を確認し、TableauとモダンExcelのどちらを利用するか判断いただければと思います。