不動産賃貸業に係る前受収益は前受金にしなければならない

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突然ですが、不動産賃貸業を営む会社の「不動産賃貸サービス」に係る前受金は何の科目にするべきでしょうか。企業会計原則はお馴染みかと思いますが、掲載すると次の通りです。

前受収益は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、いまだ提供していない役務に対し支払を受けた対価をいう。従って、このような役務に対する対価は、時間の経過とともに次期以降の収益となるものであるから、これを当期の損益計算から除去するとともに貸借対照表の負債の部に計上しなければならない。また、前受収益は、かかる役務提供契約以外の契約等による前受金とは区別しなければならない。

企業会計原則注解五

これに従えば、不動産賃貸業を営む会社の「不動産賃貸サービス」に係る前受金は「前受収益」にするべきですよね。何故ならば、賃貸サービスという契約に従い、継続して役務提供を行うものですから。

普通はそう考えると思うんですが、細かい話で「財務諸表等規則」に次のように規定されているんです。

不動産業、倉庫業、映画業その他役務の給付を営業目的とするものの営業収益(例えば、不動産賃貸料、倉庫保管料、映画配給料等)の前受額は、規則第47条第3号の前受金に属するものとする。

財務諸表等規則ガイドライン47-3

これに従うと、上記の不動産会社の前受金は「前受金」として処理しなければなりません。つまり、企業会計原則と財務諸表等規則で取り扱いに齟齬が生じています。この場合、企業会計原則という理論よりも財務諸表等規則という細則のほうが優先されるため「前受金」にしないといけないとなります。