オブザーベーションライトとは?~取締役派遣条項との違いを解説~

株主間契約で取締役会に出席し発言することができる旨を約束した権利です。発言もできますし、議事録にその発言内容を記載することも可能ですが、立場はあくまで投資家であるため、決議に参加することはできません。オブザーベーションライトはスタートアップ企業がVCからエクイティによって資金調達する際によく盛り込まれていますね。

一方で、「取締役派遣条項」という規定を契約に盛り込むこともあります。その場合は、取締役として派遣することになるため、決議に参加することができます。ただし、取締役になることで生じる責任も負うことになり兼ねないリスクもある点に留意です。さらに、取締役ということは決議の定足数等としてもカウントしなければならないので、会社法上の決議・手続の瑕疵にならないように注意が必要です。

なお、このような株主間契約は公序良俗(民90条)に反しない限りで認められると考えられます。

上場企業でもオブザーべーションライトはありえるのか?

結論からいうと、上場企業ではオブザーベーションライトを規定した株主間契約はできません。なぜならば、上場企業は取引所のルールを順守する必要があり、その中の1項目として「企業経営の健全性」が定められているからです。これについては、直接的な回答ではないですが、次のようなQAが東証よりリリースされています。

Q12:特定の大株主との間で、重要事項(大型設備投資)の事前承認や役員任命権の付与な どが含まれる契約を締結していますが、このような場合、審査上どのように判断され るのでしょうか。

A12:特定の株主に特別な権利を付与する契約の存在は、その他の株主の権利を損うものと なる懸念が高いことから、申請前に解消されていることが原則となります。

Ⅳ 上場審査に関するQ&A

新規上場ガイドブック | 日本取引所グループ (jpx.co.jp)

このQAを類推適用すると、オブザーベーションライトも同様に解消する必要があります。上場を目指す企業は注意しましょう。