わかり易く解説 2022年版 ERP最新動向

そもそもERPとは?

 「Enterprise Resource Planning」の略称で、和名では「統合基幹業務システム」と言います。端的にいうと、従来はバラバラであった人/物/金の情報(経営資源)を一つのシステム内で管理できるシステムとなります。

 ERPシステム導入前は各業務部門がバラバラに管理していた経営資源を一つのシステムの中で管理します。

ERP導入のメリット

  • 業務効率の向上

    全ての経営資源を一つのシステムにまとめることによって、情報の二重登録やシステム外の情報収集(社内のコミュニケーション含む)を防ぐことができます。

  • 経営情報の見える化(リアルタイム化)

    経営資源を一元管理することにより、必要な情報をERPより抽出しいつでも最新の経営情報を確認することができます。

    ERP導入前は経営の意思決定に必要な情報を都度収集、加工する必要がありました。

ERP導入のデメリット

  1. 導入/開発コストが発生

    従来のERPシステムにおいて、サーバーの構築、システム購入、カスタマイズ代など様々なコストが発生します。またERP適用範囲、カスタマイズ範囲が広くなればなるほど構築期間が長くなるデメリットがあります。

  1. 部門間のデータの統合が必要

    部門によって、同じデータに対して異なるコード、変数を使用している場合まずはデータの統合が必要になります。

    例:営業部門で使用している「製品コード」と、生産管理部門で使用しているロット番号が異なる場合

最新のERPシステムの動向1:クラウド化

 他のアプリケーションシステムと同様、ERPシステムにもクラウド化の波がきております。そこで従来のオンプレミスとクラウド型の特徴を以下にまとめました。

オンプレミスの特徴

 メリット

  • 導入したシステムが資産となる
  • カスタマイズが自由
  • セキュリティ対策も自身の要求に応じて自由に設定可能
  • 既存システムとは同一ネットワーク内で運用できるため連携も容易

 デメリット

  • 初期コストが高額となる(サーバーやネットワーク機器の導入が必要)
  • 保守運用コストが定期的に発生する
  • 機器調達に時間がかかる
  • 自社で障害復旧対応が必要

クラウド

 メリット

  • 初期費用無料が一般的で低コストで導入可能
  • 一般的には月額利用料のみで、ニーズに合わせてアップデート
  • アカウント登録後即時利用可能なので、インフラ調達に時間がかからない
  • インターネットを利用して、外部やモバイルからアクセス可能
  • クラウド事業者が復旧作業を行う

 デメリット

  • カスタマイズは基本的に不可
  • 場合によっては既存システムと連携できないケースもある

最新のERPシステムの動向2:Fit to standard

 従来の ERP 導入において主流であった「作るERP = Fit and Gap」から「作らないERP = Fit to standard」へと変化しつつあります。

 Fit and GapはERPの基本的なビジネスプロセスと、会社の現状(導入前)のプロセスの不整合点「Gap」を識別し、追加のアドオン開発にてERPの機能を拡張し 「ERPを業務プロセスに合わせる」ことです。

 対してFit to standardはいわばGapを分析した後、ERPの追加開発(アドオンの開発)は行いません。その場合、ERPにFitしない業務プロセスは主に

  1. ERPにマッチするように業務プロセスを作り替える
  2. 他システム、アプリケーション、RPAと組み合わせる
  3. システム外(手作業業務)で対応する

以上3点の対応が考えられます。

 Fit to standardのメリットとして、追加開発に必要な費用と時間を抑えることができます。またERP開発ベンダーはサポートの一環として定期的に機能をアップデートしております。しかし独自に追加開発をしたアドオン箇所はサポートの対象に含まれていないケースがほとんどとなります。つまりFit to standardはERPシステムを簡単に最新の状態に維持できることにもつながります。