2020年8月14日に雪国まいたけの上場承認が公表されましたが、下記のⅠの部を見てみるとIFRS適用会社で日本では馴染みのないIAS41を適用していました。IAS41は詳しくなかったのですが、この際、基準・書籍などを読み理解してみましたので、内容を共有します。
雪国まいたけ – 会計処理の方針(IFRS)
生物資産は、まいたけ、エリンギ及びぶなしめじ等のきのこ製品で構成されております。生物資産の公正価値の変動による利益又は損失は、連結損益計算書の「公正価値変動による利得」に含まれております。
生物資産は、売却費用控除後の公正価値で測定し、その変動を純損益として認識しております。生物資産から収穫された農産物は、収穫時において公正価値から売却費用を控除した金額で棚卸資産に振替えております。生物資産の公正価値は、品質等をもとに販売価格を予想し、当社製品の生産量、生育状況等を加味することにより、公正価値を算定しております。当インプットは観察可能でないインプットに該当するため、レベル3に区分しております。
▼農業会計
日本基準において「仕掛品」に含めていた生物資産を売却費用控除後の公正価値で測定しております。
また、「商品及び製品」に含めていた生物資産から収穫された農産物は、収穫時における売却費用控除後の公正価値を基礎とする取得原価と正味実現可能価額とのいずれか低い金額で測定しております。
IAS41の会計処理(基準)
生物資産は、当初認識時及び各報告期間の末日において、売却費用控除後の公正価値で測定しなければならない。
生産物の売却費用控除後の構成k値による当初認識時及び生物資産の売却費用控除後の公正価値の変動により発生する利得又は損失は、発生した期の純損益に含めなければならない。
企業の生物資産から収穫された農産物は、収穫時点での売却費用控除後の公正価値により測定しなければならない。その測定値は、IAS第2号「棚卸資産」又は他の該当する基準を適用する日現在での取得原価である。
農産物を売却費用控除後の公正価値により当初認識することにより生じる利得又は損失は、発生した期の純損益に認識しなければならない。
まだ収穫されていないトウモロコシは、生物資産の定義を満たすため、市場価格の変動を反映するように、各報告期間の末日において再測定しなければならない。しかし、ひとたび収穫されると、通常、再測定は終了し、IAS2に従って、取得原価と正味実現可能価額とのいずれか低い額で計上されることになる。
国際財務報告基準(IFRS)詳説 iGAAP2018 第2巻
仕訳例を考えたみた(私的解釈)

このように、公正価値評価することにより純損益の先行計上が可能となる。上記例ではさらに、農産物として収穫した際の相場から変動していないケースを想定しているので、販売時の利益はゼロ(売上高ー売上原価ー販管費)であるが、収穫時の相場から変動すれば、当然その差分の損益が生じる。
実際の開示



公正価値の利得と生物資産→棚卸資産への振り替えに関する開示です。
如何でしたでしょうか?少しでも参考になれば幸いです。この参考にした書籍は下記です。仕訳例が載っていないのですが、理論的な話は細かい記載があります。ただ、IFRSは実務に敵うものはないと思います。